2015年7月28日火曜日

教職員、9割近くが「国と教育委員会の調査対応」に負担感 文部科学省・教育委員会は何を改善するの?

2015.7.28付の朝日新聞によると、公立小中学校の教職員は、

  「国と教育委員会の調査対応」に9割近くが、
  「保護者からの苦情対応」や「研修リポートの作成」に7割以上が、
  
「負担感がある」と答えているそうです。いずれも授業や生徒指導とは別の仕事。

なお、今回の調査は、経済協力開発機構(OECD)が昨年に発表した国際調査で、日本の中学教員の勤務時間が参加国で最長だったことを受けて、文部科学省が初めて調べ、27日に発表したとのこと。 *外部指摘がなくても、このような調査はもっと早く実施すべきですね。

それにしても、何故、授業や生徒指導とは関係のない、「国と教育委員会の調査対応」が何故、教職員に負担なのか、文部科学省には調査だけに終わらず、その原因と追求し、ぜひとも改善して欲しいですね。

なお、本来業務とは関係のない”管理業務に追われる”状況は、決して、正常な状況ではなく、異常な状況。私の企業での経験で言えば、現場を知らない幹部や部門が、単なる上への報告のために、時間のかかる管理資料作成を部下に強制する場面がありましたが、このような状況に近いかもしれません。。

文部科学省や教育委員会は、教職員やひいては子供ために、無駄な管理資料や廃止してもよい資料がないか、今一度冷静に考えて欲しいと思います。

なお、今回の文部科学省の詳しい調査内容は下記で公開されています。この資料は、「国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応」に対する負担感率は小・中学校ともに”80%を超える状況”という報告になっています(データをみると90%に近いので朝日新聞の表現が近い)。

 2015 学校現場における業務改善のためのガイドライン
      ~子供と向き合う時間の確保を目指して~  文部科学省 7月27日
 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/27/07/__icsFiles/afieldfile/2015/07/27/1360291_3.pdf



なお、この報告書では、業務改善の考え方と方向性が以下になっていますが、国の調査のどこが具体的に改善すべきか(削除すべきか)? また、教育委員会の調査のどこが具体的に改善すべきか(削除すべきか)? の提言がないのが寂しいですね。

  業務改善の基本的な考え方と改善の方向性  *上記の文部科学省の報告書から

   (1)校長のリーダーシップによる学校の組織的マネジメント
   (2)教員と事務職員等との役割分担など組織としての学校づくり
   (3)校務の効率化・情報化による仕事のしやすい環境づくり
   (4)地域との協働の推進による学校を応援・支援する体制づくり
   (5)教育委員会による率先した学校サポートの体制づくり


また、2015.7.28付の朝日新聞によると、教諭の1日の平均在校時間を調べると、小学校は11時間35分、中学校で12時間6分。自宅に持ち帰る仕事もあり、それぞれ1時間36分、1時間44分でした。

私は、企業での仕事以外に、留学生にパソコンを教えた経験がありますが、1日に授業を数時間するだけで精神的・体力的にかなりパワーを使い、疲れてしまいました。教えるということは、デスクワークとは違い、かなりの負担になります。

教諭の1日の仕事時間は、自宅に持ち帰る仕事を含めると約13時間もあり、これはかなりの重労働だと思います。このような状況で、先生に生徒のことや授業の内容を考える時間や余裕があるのか疑問です。


現代はインターネット時代で、子供の生活環境や授業形態も大きく変化しています。警視庁の平成26年の”小中高生アンケート”調査結果によると、携帯電話やインターネットへの依存が、小学生では1割にも満たないですが、中学生になると一挙に3割を超え、さらに高校生では4割以上を占めているそうです。

 子供の携帯電話やインターネット利用について考えてみませんか! :警視庁
 http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/survey/survey_h26.htm


このような状況の中、一刻もはやく、先生の業務内容の改善が必要だと思います。